『サステナビリティ×共創』を生み出すチェックリスト
アイプラネット サステナビリティLabの共創パートナーであり、一般社団法人サステナブルコミュニティ共創機構の代表理事、横山泰治です。
全国で「人」を中心にした地方創生や企業支援の講演・研修・伴走をしながら、三菱電機イベントスクエア METoA Ginzaの公式サイト内コンテンツである「TALKS with | from VOICE」のナビゲーターとして各界のトップランナーと日々お会いしています。そうした経験から得た知識が、企業のサステナビリティ推進業務に関わる方々へのヒントになればと、計3回のシリーズコラムを掲載してまいります。
企業の持続可能性の具体化は“待ったなし”
さて、「サステナビリティ」という言葉の登場によって、我々企業にとっての新しい価値観が言語化されました。企業のWebサイトでも企業が取り組むサステナビリティについて発信しているところがほとんどでしょう。
実際、2023年の3月期からは有価証券報告書に、サステナビリティ情報の開示が開始されています。我が国のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)では、2023年6月に最終化した国際基準(ISSB基準)を踏まえ、日本における具体的なサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を開発中であり、2024年3月に草案を公表する予定*です。
*金融庁:第1回 金融審議会 サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ 2024年3月26日事務局説明資料より
これから具体的な基準に準拠して開示が行われることで、比較可能性を高め、投資家に有用な情報が提供されることとなってきます。
サステナビリティは「額縁に入れた絵」ではなく「価値を計る目盛り」として機能するようになってくるのです。
「共創」という言葉も併せて生まれています。何かに向けてただ力を合わせて行う「共同」や「協働 」とも違う言葉です。企業と働き手が共に、ときに外部のステークホルダーと連携して「コト」を生み「人的資本」を高める取り組みとして耳にした方も多いでしょう。
日本政府が2022年6月に公表した「経済財政運営と改革の基本方針2022」で挙げられている「人への投資=人的資本」。これも23年3月期以降、上場企業など約4000社に対して、有価証券報告書への人的資本の情報開示が義務付けられています。企業の人的資本への投資と情報開示は、マストになってきています。
共創もまた「あいまいな理念」ではなく「具体的な行動」として示すようになってきているのです。
まずチェックすべきは、企業のあり方
では、この「サステナビリティ×共創」で価値をさらに生み出していくにはどうしたらよいのでしょうか。
タイトルにある「チェックリスト」と聞くと「項目に当てはまることをしていれば大丈夫」と思われる方も多いかもしれません。
そこが、今回のコラムの肝であり、企業の皆さんが「サステナビリティ×共創」でつまずく大きなポイントなのです。「『サステナビリティ×共創』を生み出すチェックリスト」とは「ToDoリスト」ではありません。
価値を示す、具体的な「あり方」をチェックする「ToBeリスト」なのです。
一例をあげると、他のステークホルダーとサステナビリティをキーに共創する場合に、
- サステナビリティの取り組みが、自企業、ステークホルダーにとっての存在する目的(パーパス)と一致しているか
- 共創に取り組んでいる際に、企業が存在する目的(パーパス)と、働いている個人の目的が一致して腑に落ちているか
- 内・外関係者に共創の価値を伝える際に、自分、企業、仕事自体が、周囲から見てパーパスを感じさせる存在になっているか
- 顧客、社会からの視線に触れ、コミュニケーションをする際に、業界、地域、社会、世界とのサステナビリティに基づいたコミュニケーションになっているか
上記のように、「サステナビリティ×共創」は企業自身が定めたパーパスを基準にしながら、「個人⇔組織」「企業⇔業界」「業界⇔社会」のようにアウトサイド・インとインサイド・アウトの視点と考え方を双方含めて設定するとより浸透しやすくなります。
また、具体的な行動を生み出すためには各社ごとの「ToBeリスト」に併せて、明確に目標設定するためのフレームワーク「SMARTゴール」
- Specific:具体的である
- Measurable:測定可能である
- Achievable:達成可能である
- Realistic:現実的である
- Time-bound:期限がある
を活用すると、アクションが生まれやすくなるでしょう。
まとめ:サステナビリティ実現の近道
このように、ただやるだけではない「企業のあり方に沿うサステナビリティ」と、企業とステークホルダーが共に持続可能な存在になるための「共創」が、今後もその必要性を増していくはずです。そしてその活動には、さまざまなステークホルダーとのパートナーシップこそが、サステナビリティ実現の近道になります。
アイプラネット サステナビリティLabでは、「サステナブルな社会をコミュニケーションのチカラで共に創っていく」をテーマに、サステナビリティや共創の浸透レベルの支援から、パーパスの策定、プロダクトやサービスへの実装から展開まで、我々のような各分野の共創パートナーと共に、さまざまな企業活動の伴走支援を行なっております。ぜひお気軽にご相談ください。
次回のシリーズコラムでは、サステナビリティの実効性の核はどこにあるのか、社内外から「ウォッシュ」と指摘されないためには何が必要なのか、についてお話しさせていただく予定です。