社会との共通価値を創造するCSV事業

 現在、様々な課題を抱える社会において、サステナブルな事業が求められています。今回は、前回に引き続きアイプラネット サステナビリティLabの共創パートナーであり、地方自治体の本質的な課題解決や機会伸長を支援されている株式会社マッシュアップの亀岡さんに、プロモーション会社として実践するサステナブル事業について伺いました。

目次[非表示]

  1. 1.社会課題からビジネス機会を創出する「ソーシャルデザインサービス」
  2. 2.ソーシャルデザインサービス事例

社会課題からビジネス機会を創出する「ソーシャルデザインサービス」

 これからの日本は世界に先例のない人口減少や少子高齢化などを始めとした地域課題解決の必要性が高まっていきます。株式会社マッシュアップでは、今後一層厳しさを増していく地域社会の課題を解決するために、セールスプロモーション事業で培ったクリエイティビティを活用したサステナブル事業を構想し、ソーシャルデザインサービスを展開しています。

*資料:国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集「日本の将来推計人口」の図を一部引用・改変し作成

 上記の図のように確実に起こる未来として2060年までに約4000万人の人口減少が予測されており、多くのマーケットが縮小すると考えられています。特に地方部では自治体の財政が厳しさを増す中、自治体が主体となる旧来の公共事業の手法では多様化や複雑化する地域の課題を解決することは財政やノウハウにおいても困難になってきており、危機感を持つ自治体では企業の持つノウハウや知見を活用する必要性への認識も広がっています。

ソーシャルデザインサービス事例

 弊社では地方自治体に対するCSV事業の取り組みとして、地方自治体の関係人口創出や子育て支援による少子化対策、特産品のブランド開発支援による地域経済の活性化など、自社のクリエイティビティを活用して社会的な課題を事業機会と捉えるソーシャルインパクトの高い事業を展開しています。

事例① 農業と福祉を連携する地域ブランド開発
 長野県の社会福祉法人と共創する障がい者の就労拡大及び賃金向上を目的とした社会課題解決事業モデルです。
​​​​​​​ 地域の特産品である「大豆」と社会福祉施設が取り組む菓子製造の技術に、弊社のプロモーション会社としてのクリエイティビティを取り入れることで、地域内流通に限らず、幅広い層にアプローチすることが可能な農福連携ブランドを開発いたしました。同ブランドから生まれた商品は国内外で高い評価を受けるなど、経済的価値と同時に社会的価値の創出につなげることができました。



事例② 秋田県羽後町の地方創生を支援

 地域の担い手である子ども達の理想の未来への投資を目的とする「NPO法人みらいの学校」の設立に参画しました。弊社の強みである理想の未来から非連続で逆算するバックキャスト思考のアプローチで子どものキャリア教育支援や地域愛着を醸成するメディア事業、地域の稼ぐ力を創出するふるさと納税ブランド開発など、年間を通じて地方創生の支援を行っています。
 これまでに大手飲料メーカーや玩具メーカーとのコラボレーションによる地域ブランド開発を支援するなど、地域資産を活用したCSV事業を創出しています。

事例③ 自治体の関係人口を創出するコミュニティ運営

 現在、地域では若年齢層の減少と平均寿命の向上により人口に占める高齢者の割合が増える少子高齢化が加速度的に拡大しています。その結果、地域の働き手の減少による地域経済の縮小や自治体のインフラ維持に係るコスト増加などが社会問題となっています。
 そこで、新たな地域の担い手として注目をされているのが、地域と継続的に多様な関わりを持つ「関係人口」です。弊社の強みであるコミュニケーションデザインを活かして、首都圏在住の潜在的に地域との関わりを持ちたい層とアプローチしたい地方自治体との距離的課題を解消するために、オンラインコミュニケーションツールを活用したイベント「ロカとも」を定期開催しています。地域の抱える様々な課題を自分ごとして考えることで対象となる地域に対する愛着醸成につながり、観光での訪問機会の創出やふるさと納税の増加に寄与することができました。
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 上記の事例のとおり、弊社のサステナビリティ戦略を基に事業の強みであるクリエイティビティやイノベーション思考、コミュニケーションデザイン等の組織能力を地域の課題に対してどのように活かすことができるかを検討し、その課題に対して最良なソリューションとなるサービスを提供しています。

 アイプラネット サステナビリティLabでは、「サステナブルな社会をコミュニケーションのチカラで共に創っていく」をテーマに、こうした企業のサステナビリティ推進のお手伝いから、プロダクトやサービスへの実装・展開まで、各分野のスペシャリストと共にさまざまな企業活動の伴走支援を行なっております。ぜひお気軽にご相談ください。

 次回のシリーズコラムでは、企業のサステナビリティの取り組みから見る就活生の心の掴み方についてお話しいただきます。

亀岡勇人 共創パートナー
亀岡勇人 共創パートナー
サステナビリティLab 共創パートナー。 株式会社マッシュアップ 代表取締役。 大企業からベンチャー企業まで幅広いクライアントのプロモーション企画を多数手掛ける。主な受賞歴として、日本マーケティング大賞奨励賞、JPMベストプロモーショナル・プログラム賞、電通広告賞銀賞、ACCブロンズ、グッドデザイン賞、日本プロモーション企画コンテスト優秀賞、販促会議インストア動画アワード金賞などを受賞する。 一方、ソーシャルアントレプレナーとして地域活性事業を構想し、地域ブランド開発、関係人口創出、シティプロモーション方針策定など、地方自治体の本質的な課題解決や機会伸長を支援する。 2021年に事業構想大学院大学の特任教授に就任し、地域活性、CSVコミュニケーションデザインなど、ソーシャルインパクトの高い分野の事業開発に取り組んでいる。

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