サステナビリティの取り組みから見る就活生の心の掴み方

 近年、就活生が企業を選ぶ指針のひとつにサステナビリティが挙げられるようになっています。

*出典:株式会社IDEATECH「【就活解禁間近!】23卒就活生の73.1%が「SDGs」について認知、「企業選びで重視」は22卒より7.2ポイントUP」
​​​​​​​Q1は、「就職先企業を選ぶ上で重視する点はなんですか?」という内容。SDGsに対する姿勢や取り組みと回答した学生が24.5%だった。

 上記の調査からも、企業がサステナビリティに取り組み、外部に発信することは、今後人材を獲得する上で不可欠になると言えるでしょう。とはいえ、「どのような取り組みが就活生に響くのか」というのは難しいところです。
​​​​​​​ 今回は、アイプラネット サステナビリティLabの共創パートナーであり、地方自治体の本質的な課題解決や機会伸長を支援されている株式会社マッシュアップの亀岡さんに、サステナブルの取り組みからの就活生の心の掴み方について伺いました。

目次[非表示]

  1. 1.就活生の本音はどこにあるのか
  2. 2.就活生に伝えるべき要素

就活生の本音はどこにあるのか

 日本マーケティング学会 オーラルセッション2023 / ベストオーラルペーパー賞を受賞した、明治大学加藤拓巳専任講師、フェアトレード・ラベル・ジャパン、日本電気の共同研究「エシカル消費における態度−行動の乖離メカニズムとエシカル要因を価値に転換するコンセプトの検討」は、とても興味深いものでした。

 要点としては以下の通りです。

・消費者は「エシカル商品を買いたい」と言うものの、実際にその行動を起こすことは稀である
・コーヒー豆を題材に以下の3つのうち、どのメッセージの商品が買いたいと思うか調査

 (メッセージの内容)
  1:貧困問題や児童労働を解決するコーヒー豆
  2:優れた働く環境だからこそ生まれる高品質なコーヒー豆
  3:土が良いからこそできる良質なコーヒー豆

 結果は、1より2、3のほうが「買いたい」という消費者の数が多かった。

 つまり、サステナブルに関しての興味関心はあり、行動を起こしたいと思ってはいるものの、いざその選択を目の前にすると、自身に対してメリットがある商品を選択しているということです。
 これを踏まえて就活生の心の掴み方を考えると、アンケート調査からは見えてこない「就活生の本音」を探る必要があります。もちろん、「社会的に重要な役割を果たす企業で働きたい」「将来性のある会社で頑張りたい」と思う就活生もたくさんいます。
 そのため、サステナビリティの取り組みや目指す方向を提示し、コミュニケーションをとることも大切ですが、目の前のメリットや関心事である「職場の環境(働き方)」に関する内容を充実させることが、より重要と言えるでしょう。

就活生に伝えるべき要素

 では、具体的にどのような内容を盛り込めば良いのでしょうか。ここでは、様々な企業のサステナビリティレポートに記載されている内容をもとに紹介します。

【人権や働き方に関する方針がまとめられている】
 ・人権に関する基本方針が書かれている
 ・ダイバーシティの推進に向けた取り組みが書かれている
 ・役員や上司に対する人権研修やハラスメントを防止する研修が行われている
 ・階層別の研修が行われている
 ・社内に通報制度がある

【ワークライフバランスを実現するイメージが持てる】
 ・透明性のある評価制度が整っている
 ・ノー残業デーの実施など、残業に関する記載や方針がわかる
 ・子育てや親族の介護が必要になった際でも働きやすい、もしくは復職しやすい環境であることがわかる
 ・有給休暇の取得率がわかる
 ・自身のスキルアップに関する制度が整っている

 これらの内容は、ほとんどがサステナビリティレポートにまとめられている内容であり、就活生はそこまで読み込まないかもしれません。
 そのため、コーポレートサイトのサステナビリティページ内には、上記のようにSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」に関連した内容を充実させること、そして、その取り組み内容を分かりやすい形で掲載することが、就活生の心を掴む第一歩につながっていきます。

 アイプラネット サステナビリティLabでは、「サステナブルな社会をコミュニケーションのチカラで共に創っていく。」をテーマに、こうした企業のサステナビリティ推進のお手伝いから、プロダクトやサービスへの実装・展開まで、各分野のスペシャリストと共にさまざまな企業活動の伴走支援を行なっております。ぜひお気軽にご相談ください。

亀岡勇人 共創パートナー
亀岡勇人 共創パートナー
サステナビリティLab 共創パートナー。 株式会社マッシュアップ 代表取締役。 大企業からベンチャー企業まで幅広いクライアントのプロモーション企画を多数手掛ける。主な受賞歴として、日本マーケティング大賞奨励賞、JPMベストプロモーショナル・プログラム賞、電通広告賞銀賞、ACCブロンズ、グッドデザイン賞、日本プロモーション企画コンテスト優秀賞、販促会議インストア動画アワード金賞などを受賞する。 一方、ソーシャルアントレプレナーとして地域活性事業を構想し、地域ブランド開発、関係人口創出、シティプロモーション方針策定など、地方自治体の本質的な課題解決や機会伸長を支援する。 2021年に事業構想大学院大学の特任教授に就任し、地域活性、CSVコミュニケーションデザインなど、ソーシャルインパクトの高い分野の事業開発に取り組んでいる。

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